それでもあんまりきみが優しいから僕はまた慈しみを誤解してしまうんだ。
解釈は勝手。搾取は不躾。
須く見捨てなきゃいけないのに、優しさを求める僕をすぐ甘やかすきみのせいだ。
頷くな。触るな赦すな微笑むな。
憎め。殺せ呪え嘲り笑え。
分かっている、でももう戻れない
眩しさで目が醒めた。
「ん…」
カーテンが全開になっていたことを知る。いつもは閉じているのに。東向の部屋は朝日が眩しすぎる。
初夏を過ぎ、夏の初めの太陽の光が目映いばかりに降り注ぎ、部屋をほの暖かく色づけようとしている。
勢い良く身を起こして周りを確認する。
僕。僕の朝。僕の家。僕の部屋。僕のベッド。僕の体温。彼の匂い。
「……ああ…。うん。…そうだったね」
僕はもう一度布団に潜り込んだ。微かに残った彼の心を吸い残さないように。たとえそれが恐怖や嫌怨から成る代物でも。
彼の夢を見るために。
僕らの間には出会ってからは元より出会う前から壁があった。
僕なんかは太子や竹中さん辺りの身内にしか心を見せることができない。それもほんの少し。簡単に人を信用するのは浅はかで、恥ずべきことだと思っていた。
でも出会ったとき彼は、そうじゃなかった。
人を信じるか否かと言う前に、彼は自己を偽っていなかった。誰かに見せる為だけの自分を持っていなかった。
人を信じるということを知らず、得るための努力をせずただそこに居た。
君は無垢だった。
だから引き付けられた。
そしてその白さに、僕はつけこんだ。
「何やってるんだよ僕は…」
服を着ながらこれからのことを考えた。
………溜め息しかでない。
とにかく鉄拳でお目覚めにならなくてよかったのかもしれない。
「はあ…鬼男くん……無視はやだな…」
いや無視ならまだましか。
とにかく彼が大好きだ。その気持ちばかり大きくなるけどもう思うことさえ許されないのかも。
「もうお先真っ暗だあ…」
でも着替え終えてマンションを降りた僕を迎えたのが彼の笑顔だなんて、誰が予想しただろう!
放置してあったやつにもさっと書き出した。鬼男くんは白いゆえに殴ったりしてたら、妹子真っ黒だろなあ、と。
鬼男くんは妹子のこと好きなんだと思。でも告白とか飛ばして行為だったから、嬉しいけど、(良い意味で)憎たらしくて、カーテン全開にして(※東向部屋)おきた妹子が降りてくるの下で待ってたに一票。
慈しみを誤解。
おだい→滲さま
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