忍者ブログ
2025/04/21  [PR]
 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 日和

妹子×閻魔
何これ・・痴話げんか?
鬼男君中心。


















バキッ



勢いの良い効果音と共に吹っ飛ぶのは、閻魔大王。
そのまま天井にぶつかり、棚の書簡をぶちまける。埃が舞い上がる。
「…はっ、えんまだいおうーーー!!!!」
鬼男が放心から帰り、倒れた棚や書物に潰されている主を助けに走った。
「大王ー何処ですかー!?」
身を屈めて埋まっているはずの閻魔を探し回るが、とにかく塵芥が凄い。

か細く咳き込む音がする。耳を澄ませてそこを掘る。
突き出た白い手を引っ張るとずるりと這い出た埃まみれの主人。同情の余地はある。鬼男は彼の背を擦った。
「大丈夫ではないですね。風呂の用意しときましょうか」
「う…オレなんか駄目なこと言ったかな、鬼男君」
うなだれて伏目になる。鬼男は睫毛についた塵を払ってやると言った。
「多分、アンタの『妹子ちゃんさ、か弱そうだよねー可愛いー!』発言にキレたんじゃないですか」
閻魔はぎくりとした。
「いや、だってノースリーブのジャージから伸びる腕が、あんまり筋肉ついてなさそうだったから」
「…あのひとの腕。柔らかく見える割にかなり筋肉付いてましたよ」
「マジで!?」
「失礼です、ね」
鬼男は短くため息を吐いた。
「風呂沸かして来ます」


*****


「風呂の用意済んだ、着替え準備、あ、寝床整えないと」
鬼男は閻魔の部屋へ足を向けた。
「全く、大王はなんで余計な事を言うんだ…お陰でいつも貧乏くじじゃねえか…」
裁きの間に続く角を素通りした、あと二つ曲がって直進か。
「普段分かんねえもんか?…あの二人は一応恋人で…」
廊下は長い。
「…どっちが攻めてるんだ?…大王、か?」
いやでもあいつは妙に隙あったりするしな。小野も結構男前だし。
鬼男の呟きは止まらない。
「にしてもなあ、大王の悲しみも小野の葛藤とかも知ってるだけに、幸せになって欲しい、な」
ひとつめの角を曲がる。
「なのに小野は大王殴って消えるし、大王は勝手に萎びてるし」
ふたつめの角を曲がる。
「ふたりをどうやって引き合わせるか…」

鬼男の考えがまとまる前に、今閻魔が待っている筈の資料室のプレートが見えた。
丁度その扉の前を通る時ふと鬼男の鋭い聴覚が声を捉えた。
「大王…?」
鬼男が素早く声の主を察知し、扉に駆け寄りドアノブに手を掛けた
が、聞こえるのは争う声音ではなく、諭すようなそれ。
扉に耳を押し付けると、微かに聞こえる。

「嫌われちゃったかと思った」
「馬鹿言わないで下さい…僕は貴方が好きです、大好きです」
「…ん、」
「…殴った事は、謝ります」
「オレもか弱いなんて、ごめんね…今なら自信持って言えるぞ!妹子ちゃんは力が強くて男前で、攻めですって!」
「っ!?何を、」
「本当だーもんねー、でも男前度は鬼男君の方が上かな」
「……ふうん、なら…今からここで分からせてあげますよっ」
「ぇえっ、ノ、ノリノリじゃないか、妹子ちゃ…!!」
「いい眺めですねー大王」
「鬼男く…っあ」
何故俺をネタにしたがる、大王。

まあ念入りにベッドメイクしてやろうとか思いながら鬼男は扉を離れた。
心配は無用だったようだ。
だが世話を焼きそびれてなんだかなあという感じで鬼男は閻魔の部屋の扉を開け放った。そして、
「僕が居なくてもしっぽり決めて下さいよー!」

今夜の主人を応援した。






妹閻です。いいですねぇ
妹子は側近みたいな立ち位置で、太子と何か有ったかもしれない。
それにしてもこの鬼男、ノリノリである。

PR
prev  home  next
忍者ブログ [PR]
  (design by 夜井)