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2025/04/21  [PR]
 

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 日和

キス文ですよ。ちゅーしてますよ。
よろしければ西野さまへっ!
相互リンクありまとうございます!






















初めて、恋人の喧嘩をした。


聞こえは良いが普通の仕事するだのしないだのの喧嘩しかしたことのない閻魔にはそんな響きにうっとりする大人の余裕が有る訳もなく、仕事中もただ寂しさと苛立ちに耐えていた。

「好きって言って」
そんな類のことを要求した位で怒る奴があるか!と閻魔は言うだろうが、実際は拒否した鬼男に閻魔が食ってかかった形で始まった喧嘩だった。
だが閻魔が文句を垂れるのも仕方ない。鬼男は一応恋人という事になっている筈の閻魔に口付けをしてくれるのさえまれなのだ。勿論肉体関係も、ない。
それも閻魔を悩ませる要因だった。
もしかして鬼男は自分が上司だから、恋人という位置に置かれるのを了承したのではないか。たまにとる優しい態度さえ欺瞞ではないか。という不安が思考を支配するのだ。いつも上司だと思ってないかのような行動をするのに。

「次の方、どうぞ」

耳に飛び込む彼の声が事務的な響きを帯びていて、また閻魔は頭痛と戦う羽目になる。
「次の人、ちょっと待って」
顎を支えていた手を前に出し、待ったのポーズをすると、鬼男が驚いた様に振り向いた。だが閻魔を映す瞳は冷たかった。
「どうされました、大王」
声色こそ普通だが、いつもの鬼男が閻魔に対してこんな話し方をする筈がない。
(気にしてるんじゃないか。)
閻魔はたまに鬼男が意外に子供だと思う。
閻魔は鬼男の顔を見て、にわかに沸き起こった彼に抱き付きたいという気持ちと、彼がたまらなく憎らしい気持ちに挟まれ、煩わしさを感じながらぼんやりと言った。

「面倒臭い、なあ」

すると鬼男が眉間に皺を寄せ、怪訝な顔をしたので、閻魔はにやりと笑って見せ、彼を手招きした。
鬼男は一瞬ためらって微妙な表情で近付いて来た。閻魔は少しだけ緊張する自分に苦笑した。


褐色の滑らかな頬に白い手を添えて、閻魔は鬼男に口付けた。

(だってこの思い全部君への愛しさ。だったら一々面倒に考える必要無いよね。)
唇を離すと鬼男が少し頬を染めて閻魔を見詰めた。内心閻魔に失望されていないか気が気でなかったのだ。
閻魔にしてみれば鬼男が反発しなかったのは嬉しい誤算だった。
(互いの体知る前に、もっと君の心の中知らなくちゃ。)
閻魔はふふ、と軽く笑うと死者達が息を飲み自分達を見詰めているのも気にせず、鬼男にまた舐めるようなキスをした。






大好きな君に最高の嫌がらせ!









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