…て、何それ!なんで泣いてるんだい?」
ロキはぽかんとした。
「はあ?」
が、俺もぽかんとした。
ロキのことだから俺が泣き出したのを見計らって出てきたのだと思った。
しかしどうやら違ったらしい。
「学校でなんかされたのかい?それともまさかボクが現れたから嫌すぎて…」
「おまえは関係ない」
失笑して、涙を拭おうと身じろぐと、もう手の自由がきかない。
「待って」
掴まれた手首に痛みはないが、振り払うことはしなかった。
「もうちょっとボクを頼ってよ。先走って無理をして傷つく君を見たくないんだよ」
「だって、」
喉が引きつった。
「弟は俺を微塵も、気にしない」
「うん」
「俺の方を、見てくれは、しない」
「うん」
「俺、の悲しいこと、は、伝わらな、い」
「悲しいの?」
上擦る声を出す。
「悲しくはない。ただ、苦しくて…痛い」
底を知らぬ涙も、喉の熱さも、息を吐けない肺臓も、律動的な頭痛も、腹の奥のわだかまりも、身を裂くように痛かった。
此身を裂かんばかりの灼熱が、許せなかった。
俺は従兄弟に何を望んでいるというんだ。
俺は弟に何を望んでいるというんだ。
こんな風に一人で惑って一人で泣くなんて、馬鹿か愚図みたいに恥ずかしいのに。どうして期待するのかそれ自体意味が分からない。
途方に暮れる俺を抱きしめて、あやすように背を撫ぜる手の暖かさに、苦しかった呼吸はにわかに元の体裁を取り戻した。
スーツの襟を幼稚にも涙で濡らしながら、こいつは思っていたより性悪ではなく、割と付き合いやすい奴なのではないかと、一瞬、思った。
思ってしまった。
ロキには…母性があるから…(笑)
ナオヤがロキに母を求めるとかいい妄想ができ…や、だまされちゃだめだ!チャラ男おとこ!
なにかとても主ナオには見えない
ロキはぽかんとした。
「はあ?」
が、俺もぽかんとした。
ロキのことだから俺が泣き出したのを見計らって出てきたのだと思った。
しかしどうやら違ったらしい。
「学校でなんかされたのかい?それともまさかボクが現れたから嫌すぎて…」
「おまえは関係ない」
失笑して、涙を拭おうと身じろぐと、もう手の自由がきかない。
「待って」
掴まれた手首に痛みはないが、振り払うことはしなかった。
「もうちょっとボクを頼ってよ。先走って無理をして傷つく君を見たくないんだよ」
「だって、」
喉が引きつった。
「弟は俺を微塵も、気にしない」
「うん」
「俺の方を、見てくれは、しない」
「うん」
「俺、の悲しいこと、は、伝わらな、い」
「悲しいの?」
上擦る声を出す。
「悲しくはない。ただ、苦しくて…痛い」
底を知らぬ涙も、喉の熱さも、息を吐けない肺臓も、律動的な頭痛も、腹の奥のわだかまりも、身を裂くように痛かった。
此身を裂かんばかりの灼熱が、許せなかった。
俺は従兄弟に何を望んでいるというんだ。
俺は弟に何を望んでいるというんだ。
こんな風に一人で惑って一人で泣くなんて、馬鹿か愚図みたいに恥ずかしいのに。どうして期待するのかそれ自体意味が分からない。
途方に暮れる俺を抱きしめて、あやすように背を撫ぜる手の暖かさに、苦しかった呼吸はにわかに元の体裁を取り戻した。
スーツの襟を幼稚にも涙で濡らしながら、こいつは思っていたより性悪ではなく、割と付き合いやすい奴なのではないかと、一瞬、思った。
思ってしまった。
ロキには…母性があるから…(笑)
ナオヤがロキに母を求めるとかいい妄想ができ…や、だまされちゃだめだ!チャラ男おとこ!
なにかとても主ナオには見えない
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