(
2009/01/14)
宗教
不死閻魔の子飼い鬼男くんって、いいね
小鬼くん注意
電波
小鬼くん注意
電波
「だいお…」
「大丈夫だよ、鬼男君。…腕の一本や二本、すぐ治るさ」
彼は笑った。
どうしようもなく穏やかに笑った。
血で唇を真っ赤にして、髪から血を滴らせ、露出した骨を隠しもせず、その身体から絶え間なく血液が流れ出るのに構わず、さながら全てを赦さんとする聖人君子のように、笑った。
僕は口籠る。
永久を生きる彼は途方もなく冷静だった。そしてこれからも変わらないだろう。支配者は常磐でなくてはならないのだ。肉体も理論も全部全部全部。
その為彼の精神は盤石でなくてはならない。思い知るとともに、決意した。
僕がこの人の拠り所になる。
だって頑ななように見えてきっと今にも壊れそうな程にひ弱なのだろう。その心を理解し得るくらい大人になろう。
彼が壊されないように。彼の尊い心と脆い体を危険に晒す全てを殺してやる。
彼が何者かによって辱められるなんて考えられない。そんな事態が彼を襲おうものなら僕がこの身を挺して彼を守る。彼の為に死ぬなら何も怖くない。
でも、その頃の僕には力なんてなかった。
彼が生きていてくれるなら、それで幸せだったのだけれど、彼を守るだけの力がなかった。
彼の為に強くなる。
彼の為に捨てる。
彼の為に壊す。
全て捧げ奉る。
そして僕は強くなった。
全てをかなぐり捨てた。
けれど、唯一の誤算。
彼を、愛してしまった。
宗教
彼が目覚めぬようにゆっくりと、抱き締める。抱き、留める。
心臓の音が焦心を加速させる。
「あいしてます」
僕の過失を赦していただけますか。
「あいしてしまったんです」
大人になれば恐いものはないと思っていたのに。
心の痛みを知らないで、どうしてそんなことが言えたろう。
今は彼に愛想を尽かされるのが一番恐い。
どうか僕を嫌わないで。
「まだ、子供なのかなあ」
少しも彼に近付けない。
彼を愛おしむあまりにこの身まで惜しんでしまいそう。
もっとずっと近くに居たい。
多分彼に一番殺されたい。
彼のエゴで、殺されたい。
不完全燃焼
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