夜摩鬼男注意!!
大王が鬼男を閻魔さまと呼ぶよ。
大王が鬼男を閻魔さまと呼ぶよ。
貴方がおっしゃるなら。そう、いつでも覚悟はできています。
たとえどれほど利用されようと、つかいまわして遺棄されようと、かまうものですか。
わたしはわたしの身など案じたくはありません。
さあ申しつけてください。
ただただ貴方に使用されることがわたしの快楽。
ともに安らぐ時間など不要。貴方の犠牲になれれば本望なのです。
どうかわたしへ情など注がないで。
愛と死の螺旋を
「幸運だと言われたよ」
「へえ」
「大王なんて滅多に成れるものじゃあない、って知らない死者に」
「それはいつぞやの大王職が言ったんだと思いますよ。ちっとも愉快な仕事じゃないと思いますけどね…」
「君の下した判決を読み上げるだけ!」
「楽しいですか?」
「悦楽さ!」
「結構な事で」
「ねえ」
「はい」
「愛してます、閻魔さま」
「………」
「貴方の瞳が私に色を与えるのです。貴方の声により私は音に気付くのです。貴方が居ればこそ意識は私を確認するのです」
「………」
「貴方の指に触れて初めて生命は孤独を知るのです」
「大王」
「ん?」
「名前が欲しいんですか?」
「愛して欲しい。終わり来たる胸の暗渠すっかり埋めるくらい」
「…幾らでも搾取しなさい」
「ぎゅー…でもこれって愛って言うのかな」
「さあ」
「俺が閻魔さま愛してるのは確信できるんだけど、君の愛を感じない」
「そうですか?」
「君恋したことないの?」
「忘れた」
「この頭のみじじい…惚れた腫れたは人生の醍醐味だろう」
「醍醐味とまで言いますか?何しろ僕数千年こんな調子で生きてるんで」
「まあ人間には学習機能があるから、閻魔さまにゃ俺が在任中に愛を教えてみせるよ!」
「はあ」
「覚悟してろよ!」
「なんか嫌だ」
「そういえばそんな閻魔さまは愛でなく死に直面したことあるの?」
「確かあった気がするなあ」
「え、まじで」
「本気で死のうとした経験なら何度かはギリギリ覚えてますよ」
「え」
「骨を砕いて筋肉を寸断して腱を断ち切って腕を千切って爪を剥いで眼球を潰して皮膚を溶かして頭かち割って脳味噌を潰して脳漿をぶちまけて内臓をばらまいて血液を沸騰させて死なないのは奇跡でした」
「…全部、自分で?」
「はい」
「そんなに罪深いの?閻魔さまそんなことして何の罪滅ぼしするの?」
「多分ひとりで耐久大会やってたんですよ」
「そのときの大王はどうしてたの?」
「しらね」
「俺なら止めれたのに」
「………」
「そんなに死に憧れてるの?」
「…そうなのかも、しれない」
「どうすれば私は、貴方を救えましょう」
「…」
「どうせば貴方の望むまま死ぬるか。おしえて」
「はああ…いきなり死ぬとか言わないで下さい、まだ任期はあるんですから」
「…いまちょっと愛感じた」
「はいはい…さて午後一人目は、」
「前科十犯」
「地獄で」
任期=寿命かも
なんか鬼男が悟りきってるんだけど。
この人たちの醸しだすふんいきが好きだ
鬼男君はただ死を知りたかったんだと思う
お題、滲さまー
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