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2025/04/21  [PR]
 

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 日和




「私を好きならそうと言ってくれて構わないよ」

黒髪を白い指で撫でながら、彼は、まるで全て理解しているかのように、口元に笑みを浮かべる。
いや、知っているんだ。
決して知ったかぶりじゃない。僕はそれもわかってる筈。
「冗談言わないでください」
だから僕は彼を拒む。
「無理はしなくていい」
「無理じゃあ、ない」
彼の瞳が僕の視線を絡め取る。
眼球を犯す冷たい双牟。
「嘘も全部見抜いてあげるから」
冷たい指が僕の手首をなぞり、僕のと絡む。
血管を犯す冷たい十本の指。
「結構です……何より身分が違い過ぎます」
「そんなことに気が咎めていたのかい?問題ないよ。どうにも皮肉だけど、一番偉いのは私なんだから」
「…そうでしたね」
彼の低い体温に僕の指先に溜まった熱はとうに奪われてしまった。
いよいよ冷たさが両椀を侵す。
「大好きだよ」
彼は僕を包むようにように、抱き締めた。
暖めるように、凍らせるように、しなやかな腕で抱き締めた。
僕を犯す冷たい二本のかいな。
「きみをね、愛しているんだ。きみのためならこの身など惜しくはないよ」

鼓膜を、神経を、犯す冷たい囁き。


「やめてください」


僕は、心底気分悪気に言った。
「なんか気持ち悪いです。…閻魔大王」
「……あれれ~?ばれちゃってた?」
彼は僕と距離をとると、太子のなりをした自分のいたる所を眺め回した。
「格好はいつも通りできてるよね?やっぱ喋り方でわかった?」
「はい…。…それによく見ると雰囲気がかなり違いますよね」
「そっかー。難しいねえ、中身違うもんねえ…」
「な、中身…?」
なんか違うんじゃないか?
「え?…変化なんてしてないよ」
「じゃあその顔は…」
彼は笑った。
「油断しちゃ駄目だよ~?妹子ちゃん」
視界を犯す冷たく、不敵な微笑み。
「太子くん犯しちゃうよ?…色んな意味でだけど~!あっでも鬼男くんに手伝ってもらえば物理・肉体的にも犯せるかあ~!うふふふー」
「閻魔大王!」
彼はつまらなさそうに唇を尖らせて僕を見た。
「なあにいい~?」
「早く太子を出して下さい」
「あとでね~」
そっぽ向きやがった。
「早く太子を出して下さい」
「後でね~」
「早く太子を、」
「はいはいはいはいわかってるますよーだ」
そして彼は流し目で僕を見た。
「そんなに大切なのにどうしてオレなんかが隙間に入れたのかねえ」
「は?」
「態度に出してないだけなの?それとも彼が偉いからくっついてる訳?」
「んなっ…」
「大王!ここにいらしたんですか!探しましたよ」
「あ。ごめ~ん鬼男くんすぐ戻らなきゃだねー」
彼は、太子の姿で太子の顔で太子の声で、現れた秘書に駆け寄り笑顔を向け甘い声で言った。

僕は、
彼が僕を『きみ』と呼ぶまではっきり別人と認識出来なかった愚かな僕は、

「不覚だ…」

真っ赤な頬で、先程の偽太子との対話を思い出した。

「太子の顔した奴に、なんでこんな気持ち…っ」


これは、一体、どちらへの、
















ドッペルゲンガーに恋して












「太子くんはこの辺に放置しといて、鬼男くん」
「はい。…大王、」
「ん?」
「あなたがここまでして…警告しても、小野妹子が聖徳太子に微塵も情愛を抱かなかった場合…どうなさるんですか?」
「んむー、そうだね…」
「あなたが、それほどに、どんな形であれ幸せを願うのに」
「うん。どうしてもどうあってもどんな手を使っても、太子くんに幸せであってほしいの」
「どうするか、決まってらっしゃるみたいですね?」
「…勿論」
「では?」



取り憑いてあげる















ていうか、あの・・・閻魔くんの言う台詞をルックス太子がいうっていうのは・・ちょっと・・。
閻魔さんキザぽいから・・。
なんだか閻太くさい。
閻魔が太子の魂を大切にしているから、太子がほれてる妹子を、どうにかしたろうと思って、鬼男くんを巻き込み、ハッする。
みたいな。
でも妹子が閻魔にほれちゃったらおもしろいよね!!
妹子はたいしを少し意識していたのですかのう。
最後は白抜きにするしかなかった。見えるよ。そしてじつは椎名氏のドツ ペル ゲンガ ー です。好き。
お題→星葬さま
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