(
2009/04/07)
曲識
彼の腕に身を任せ、向こうに掌を遣って、此処に流れる時間に触れようとしても、指から溢れて唯手に残るのは喪失感だけ。
一層此の儘止まれば、喜びこそすれど焦りや痛み等、こころは忘れてしまうだろう。
けれど意識を殺して繋ぎ留めておく術はないし、芽吹く植物を妬む謂れはないし、それこそ闇を見ることは不可能な様に、悠久の流れを遮断することは出来ない。
だから僕は記憶する。
君を脳裏に刻み付けて、瞼の裏に焼き付けて、何時でも見ている。
永遠は無い。
十分思い知ったから。
時は移ろい想いは歪み感覚は薄れる。
だから、
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