負け犬がナオヤさんになにやらしかけようとしているのを主人公くんが見抜くけど、ナオヤさんが負け犬を溺愛しているのでどうしようねこれ?ってチャラ男くんに相談したのちのはなし。
ベッドシーンで始まるけどちっともエロかないです。すいません。
シーツに反射する光で透き通る肌が桃色に照っている。曇りのないつやをして寝息を立てる体に胸が満ちる。
「ロキは、許さないだろうね」
さっと、白昼夢のように思い出された彼の少年の悪夢じみた言葉に唇を噛み締めた。
「オレも許せやしない」
続けて、少年は確かにそういう響きの言葉を発した。
「でも、ナオヤは何も知らないよ。ナオヤがあいつを好きだから、オレは何も言えないままに、おまえに伝えているんだよ、ロキ」
触れていた髪が僅かに動いた。
「ナオヤに直接、害が及ぶようなことは、まだ、何も起きていない、ああ現時点の話だけどね。いづれ何か起きるかもしれないけど、何も起きないかもしれない。だからこそオレは決断し兼ねているんだよ、ロキ」
別の、三白眼の少年が、見える世界を歪んだ笑顔で埋めつくす。
か細い子供の身で何ができるというのかその体を強く砕いて滲ませてやりたい気持ちのどこか可笑しいのか笑うな。
僕が、おまえを、
ころしてしまっても、
「ロキ!」
いつの間にか目を覚ましたらしい彼女の声が僕を呼んだ。
目を開けるとすぐ近くにあった彼女の瞳が謎に満ちた色に揺れていた。
「、どうした、の」
はっとして、僕は自分が夢を見たことに気づいた。おまけにうなされていたらしい。
普段と違う調子の僕に心配な顔をする彼女の指が額に貼り付いた僕の前髪をやさしく梳く。
今日の僕は相当に切羽詰まっていたと、自分でも思う。
「ナオヤ」
だってこんなにもきみを心配して、
「大好きだよ」
あいしているからこそ、きみが失望したり絶望したりするのを見たくないのに、どっちに転んでもきみは傷つくの。
「わたしも」
きみの唇が動くのを不思議に思う自分すらいて、すべて仮初めだと思う自分もいて、だって彼女が目指すところは終わってしまうことで、つまり僕の望みとは逆の向きで、じゃあなんで今こんなふうにしているのかとか、ていうか僕は悪魔だとか、彼女にしてみれば僕はもう暇つぶしに過ぎないのではないかとか思い至ってしまって、結局いつも通り彼女がいとおしいという僕の独善的な気持ちに纏まるわけだけど、今日のきみは多弁だった。
「わたしも、大好き」
大好きと余裕を持って言ってしまえるのに、きみは、僕とだけ生きたいと言ってはくれないの?
僕はきみに降りかかる火の粉をどの方向に払えばいいのかも、決めかねているのに、きみはもっと強固な意思で僕にきみを守らせちゃくれないの?
三度目の夏
「アツロウだけどさあ、オレ、どうしようか迷ったけど」
「どうするの?」
「好きにするといいよ。 主人公は、オレじゃない」
そして魔王様は或る鍵を僕に見せた。
ベッドシーンで始まるけどちっともエロかないです。すいません。
シーツに反射する光で透き通る肌が桃色に照っている。曇りのないつやをして寝息を立てる体に胸が満ちる。
「ロキは、許さないだろうね」
さっと、白昼夢のように思い出された彼の少年の悪夢じみた言葉に唇を噛み締めた。
「オレも許せやしない」
続けて、少年は確かにそういう響きの言葉を発した。
「でも、ナオヤは何も知らないよ。ナオヤがあいつを好きだから、オレは何も言えないままに、おまえに伝えているんだよ、ロキ」
触れていた髪が僅かに動いた。
「ナオヤに直接、害が及ぶようなことは、まだ、何も起きていない、ああ現時点の話だけどね。いづれ何か起きるかもしれないけど、何も起きないかもしれない。だからこそオレは決断し兼ねているんだよ、ロキ」
別の、三白眼の少年が、見える世界を歪んだ笑顔で埋めつくす。
か細い子供の身で何ができるというのかその体を強く砕いて滲ませてやりたい気持ちのどこか可笑しいのか笑うな。
僕が、おまえを、
ころしてしまっても、
「ロキ!」
いつの間にか目を覚ましたらしい彼女の声が僕を呼んだ。
目を開けるとすぐ近くにあった彼女の瞳が謎に満ちた色に揺れていた。
「、どうした、の」
はっとして、僕は自分が夢を見たことに気づいた。おまけにうなされていたらしい。
普段と違う調子の僕に心配な顔をする彼女の指が額に貼り付いた僕の前髪をやさしく梳く。
今日の僕は相当に切羽詰まっていたと、自分でも思う。
「ナオヤ」
だってこんなにもきみを心配して、
「大好きだよ」
あいしているからこそ、きみが失望したり絶望したりするのを見たくないのに、どっちに転んでもきみは傷つくの。
「わたしも」
きみの唇が動くのを不思議に思う自分すらいて、すべて仮初めだと思う自分もいて、だって彼女が目指すところは終わってしまうことで、つまり僕の望みとは逆の向きで、じゃあなんで今こんなふうにしているのかとか、ていうか僕は悪魔だとか、彼女にしてみれば僕はもう暇つぶしに過ぎないのではないかとか思い至ってしまって、結局いつも通り彼女がいとおしいという僕の独善的な気持ちに纏まるわけだけど、今日のきみは多弁だった。
「わたしも、大好き」
大好きと余裕を持って言ってしまえるのに、きみは、僕とだけ生きたいと言ってはくれないの?
僕はきみに降りかかる火の粉をどの方向に払えばいいのかも、決めかねているのに、きみはもっと強固な意思で僕にきみを守らせちゃくれないの?
三度目の夏
「アツロウだけどさあ、オレ、どうしようか迷ったけど」
「どうするの?」
「好きにするといいよ。 主人公は、オレじゃない」
そして魔王様は或る鍵を僕に見せた。
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