主人公の名前は維式くんですイエー
主チャラ。ナオチャラ。いたいけないチャラ男などが許せるていうか好きな人にしか向かない。
僕を囲った着物の感触も、僕を閉じ込めた腕のたおやかさも、僕を撫でた指の長さも、僕を捉えた眼の鮮やかさも、僕を開かせた脚の白さも、僕の深くを見たきみの熱さも、僕の髪を梳いた掌の大きさも、僕に口付けた唇の薄さも、すべて覚えている内に夏は過ぎ去りきみは僕を放棄した。
でなければ魔王の城塞の上部へ籠もり悪魔を通すなと申し付けたのは何故だ。
それ程までに僕は不要だったか。
それ程までに僕は邪魔だったか。
きみのために在ろうとした悪魔の僕は愚かに見えただろうか。
きみの望みに沿おうとした悪魔の取引は不条理に見えただろうか。
最早一人問答をする気力も尽き僕はきみを諦めた。それこそ正しい道に他ならない。
目前には奈落。
足を踏み出しさえすれば、僕はこの世から、きみの記憶から逃げ出せるというのにすくむ足をどうすればいいの。
本当はまだきみのことを信じていたいというのか、僕は。
それともまだ打算をもってきみを見ているのだろうか。
「あんた何してるの?」
「い、維式くん?」
ふいに投げかけられた声の主は漆黒の外套を羽織ったベルの王。
彼は僕の顔を覗き込み、帰るの?と言葉に疑問符を添えつつも左手の一振りで僕の活路を消してしまった。
計り知れぬ色の瞳を燻ぶらせ、推し量れぬ魔性を爪の先から滲ませて、彼は僕の腕を掴んだ。
「つまんない、俺を楽しませてよ」
身体を軋ます声、喉を撓ます眼。どちらがどちらとも僕を抑圧する。
靭帯の発する一音各々が、痺れるように甘い。
虹彩の筋肉一筋各々が、焼き付くように光る。
腕に触れた指先で、心身頭蓋骨肉骨髄神経内腑足爪先々隅迄一概一様に囚われた。
「逃げるなんて、なんにも面白くない」
その言葉に、つと顔を上げると、彼の眼は加虐対象を見るそれで、怖じ気立つ僕に笑いかけた。
彼から見た僕はどのようであったか。
このようであっただろうか。
ふと過ぎる考えをかき消したのは青い爪。紫の袖に痕を残して、僕の頬をなぞる。
「つかまえた」
無邪気に笑う目の前の魔王。
「哀しいの、苦しいの、俺が消してあげるよ。おまえの自由は貰うけど」
青く光る眼よ、戯言と気づかせないでいて。
その眼で無意識のまま僕を騙して黙らして抑圧してぶちのめして欲しい。
「不条理だね」
僕の指を真実だと思って身を投げ出してしまいたいよ。
どうして僕がかつて誰かに求めていたような笑顔をしているの。
「でももう逃げられないよ、さあおいで」
彼の第一声で須く逃げるべきだった僕は魔王の恐ろしさの一片も知らない。
蠢く感情を意識の底へ沈める。
僕は違う眼に惹かれていた筈なのに。
赤い双眸に見離され打ちひしがれた体を取りながら、青い双眼を細めるその無邪気な顔に犇めく恐ろしさを肌で知りたいと思ってしまっては、あまりに不謹慎ではないか。
それはふたごころだと、僕をいましめる人はもういない。
アフターダーク
ナオチャラが主チャラになるパターン魔王バージョン。(副題)
魔王ルートだとロキが手に入らないのにきづいて、ロキをパーティーに入れるんだーってなった
ナオヤが戒めてたんじゃなくて、ナオヤの存在が戒めになっていたのではないかしら
しかしチャラ男はドエム
主チャラ。ナオチャラ。いたいけないチャラ男などが許せるていうか好きな人にしか向かない。
僕を囲った着物の感触も、僕を閉じ込めた腕のたおやかさも、僕を撫でた指の長さも、僕を捉えた眼の鮮やかさも、僕を開かせた脚の白さも、僕の深くを見たきみの熱さも、僕の髪を梳いた掌の大きさも、僕に口付けた唇の薄さも、すべて覚えている内に夏は過ぎ去りきみは僕を放棄した。
でなければ魔王の城塞の上部へ籠もり悪魔を通すなと申し付けたのは何故だ。
それ程までに僕は不要だったか。
それ程までに僕は邪魔だったか。
きみのために在ろうとした悪魔の僕は愚かに見えただろうか。
きみの望みに沿おうとした悪魔の取引は不条理に見えただろうか。
最早一人問答をする気力も尽き僕はきみを諦めた。それこそ正しい道に他ならない。
目前には奈落。
足を踏み出しさえすれば、僕はこの世から、きみの記憶から逃げ出せるというのにすくむ足をどうすればいいの。
本当はまだきみのことを信じていたいというのか、僕は。
それともまだ打算をもってきみを見ているのだろうか。
「あんた何してるの?」
「い、維式くん?」
ふいに投げかけられた声の主は漆黒の外套を羽織ったベルの王。
彼は僕の顔を覗き込み、帰るの?と言葉に疑問符を添えつつも左手の一振りで僕の活路を消してしまった。
計り知れぬ色の瞳を燻ぶらせ、推し量れぬ魔性を爪の先から滲ませて、彼は僕の腕を掴んだ。
「つまんない、俺を楽しませてよ」
身体を軋ます声、喉を撓ます眼。どちらがどちらとも僕を抑圧する。
靭帯の発する一音各々が、痺れるように甘い。
虹彩の筋肉一筋各々が、焼き付くように光る。
腕に触れた指先で、心身頭蓋骨肉骨髄神経内腑足爪先々隅迄一概一様に囚われた。
「逃げるなんて、なんにも面白くない」
その言葉に、つと顔を上げると、彼の眼は加虐対象を見るそれで、怖じ気立つ僕に笑いかけた。
彼から見た僕はどのようであったか。
このようであっただろうか。
ふと過ぎる考えをかき消したのは青い爪。紫の袖に痕を残して、僕の頬をなぞる。
「つかまえた」
無邪気に笑う目の前の魔王。
「哀しいの、苦しいの、俺が消してあげるよ。おまえの自由は貰うけど」
青く光る眼よ、戯言と気づかせないでいて。
その眼で無意識のまま僕を騙して黙らして抑圧してぶちのめして欲しい。
「不条理だね」
僕の指を真実だと思って身を投げ出してしまいたいよ。
どうして僕がかつて誰かに求めていたような笑顔をしているの。
「でももう逃げられないよ、さあおいで」
彼の第一声で須く逃げるべきだった僕は魔王の恐ろしさの一片も知らない。
蠢く感情を意識の底へ沈める。
僕は違う眼に惹かれていた筈なのに。
赤い双眸に見離され打ちひしがれた体を取りながら、青い双眼を細めるその無邪気な顔に犇めく恐ろしさを肌で知りたいと思ってしまっては、あまりに不謹慎ではないか。
それはふたごころだと、僕をいましめる人はもういない。
アフターダーク
ナオチャラが主チャラになるパターン魔王バージョン。(副題)
魔王ルートだとロキが手に入らないのにきづいて、ロキをパーティーに入れるんだーってなった
ナオヤが戒めてたんじゃなくて、ナオヤの存在が戒めになっていたのではないかしら
しかしチャラ男はドエム
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