僕が無理矢理手込めにしたと、君は言い張るだろう。
間違っちゃいない。
でもベッドの中身は本当で、交わす愛がそこにはあって、慈しみさえ注ぎ合う、互いの肢体に欲情をかり、足りぬとばかりに爪を立てる。
僕らは恋人ではないと、君は言う。僕は言う。言わざるを得ぬ。
君を愛している気持ちをさえ、素面では言い得ぬ歯痒さ。 そう、ひどく傷つけているはずの君へ、僕が愛惜などと認めてはくれまい。
認めてしまえば君は、君を裏切ることになる。
僕はそれを知っている。
余りに白く、最も白く、尚白く、君の指が蠢く。僕がそれを制すと、君は顔を背ける。
晒された首筋はひたすらに真っ白く在る!
白い皮の下で柔らかな繊維の束が僕の八重歯を迎え入れる、今、瞳を潤め呼吸を荒くしているからには、君も少なからず興奮しているはずだけど、君はこれしきの快楽に身を任せて僕の名を呼んでくれない。
手を下に降ろしていくと、白い腕がそろそろと差し出されたので、いじらしさが胸をくすぐる。きみがいとおしい。この場で叫んでしまいたい。
たやすく手折れてしまいそうな腕を捕まえて、薄い背を抱き込めばもう、君は僕のもののようにすら思われるのだけれど、それはただの妄想。
君は弟を愛している。
多分、僕がこんなようなことをするほど、一種宗教的に、一層情熱的に、純粋に愛している。
僕が彼の肉欲を食らい尽くしているからこそ神聖な恋をしていられるのだという言い訳も考えた。
だがそんなことはどうでもいい。
「ボクは君を、愛しているんだよ」
彼は一瞬凍ったように動きを止めると、殆ど泣きそうな顔をした。
しかし隙を見た僕の口づけに抵抗せず、舌を引き出されるのを嫌がりもせず、互いの熱に任せて、食い散らすように乱暴に、食べ尽くすように濃厚に、溢れる唾液を絡ませ合った後に、
「俺は弟を、愛しているんだ」
機械的に、そう喘いだ。
やはりその言葉は僕の心をかき乱すのであるが、努めて冷静に、その心地を興奮にすり替えることは忘れない。
彼の腕は僕の首に絡まっていて離れそうにないのに、僕はその手に、千切られてしまいそう。そう錯覚をさせる哀しみをも飲み込んで、僕は気丈に笑みをする。 さても詮無き思慕。
僕はできるだけ強く、深く、彼をベッドに沈めて、できるだけ甘く、優しく、上気する頬に口づけた。
彼の貴い感情さえ否定したいとは、少しだって思わなかった。
白昼は純潔
タイトルは真夜中のぱろでい。
全体を最後の一行からもうそうするパッション
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