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2025/04/20  [PR]
 

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 寝ている美形を寝起きの目でぼーっと見つめていると、きゃしゃな感じの白い腕がいきなりわたしを閉じ込めた。
 抱きしめる腕の力にきゅっと身をすくめると、わたしは白い睫毛を見つめて、今日初めての声を出す。
「…寝てるのかい」
 閉じてた瞼が驚いたようにぱちりと開き赤い瞳にわたしだけを映した。
「今起きた」
 かすれた声をしてわたしに笑いかけ、ふと目の淵に影を落とした。
 誰のことを考えているかなんて言わずとも知れている。
 それでもこの男が愛おしかった。
 これが恋慕の情なのだと思う。
 だってさっきの一瞬の微笑みが脳裏から消えない。
「諦めようか」
 試しにひとつの選択を掲示してみる。
「いや、俺はアイツを殺す」
 迷いのない目が宙を睨む。
 こっちも迷いなく、あなたがすべて正しいと、あなたのすることすべてが真実と、その目に泥酔できたら心苦しく思うことなんてなかったのに。
 先程わたしから逸れた赤い目が胸の深くを締めつけるようで、浮き出た鎖骨に爪を立てた。
「今度は刺した程度じゃ死なないと思うけどねえ」
 彼は口先でおどけたわたしを再び見つめ、その腕でより一層強くわたしの肩を締めつけた。
 吐息が耳の辺りを撫でて、くすぐったくて、はずかしくって、幸せだった。
 彼は今日、命を落とす。



ファイナル ディスタンス




 風は無く、赤い空を背景にそびえ立つビルは大きさ以上の存在感を醸していた。
「ロキ」
 触れていた肘が離れて、別れの予感がした。
「ん?」
 だけれどわたしはあくまでも、笑って、彼に向き合った。
「好きだ」
 彼は言う。
「初めて会ったときから、ずっと、すきだった」
 瞬きの合間に出会いも今までもこれからもすべて見えた気がした。
 あなたは、わたしをつなぎ止めるように手を取って、縫い止めるような視線を浴びせる。
 わたしは冷静に、これ以上の幸せはないんじゃないかなと思いつつ、狂喜のあまりずっとこのまま一緒にいたいと、錯乱のあまりこの男をここで殺してしまいたいと思っている自分を感じた。
「ナオヤくん、」
 とにかくわたしは一瞬これまでとこれからのすべてを忘れた。
 だからこそ、自分がすべてを思い出す前に戯れ言を吐くのだ。
「、それ、これから死ぬ人のセリフじゃないの?」
 言ってから、ああ、この人は死ぬのだ。
 この人自身、死ぬ気で、捨て鉢で。もう、どうでもいいんだ。
 と、思い至った。
「フン、まあここで見ていろ。絶対来るなよ。邪魔だ」
 ならわたしが、どうでもよくなくさせるしかないんだよね。
 と思っても口にだしてはいけないの。
「おや。ひどいこと言うねえ。ダイスキなボクに」
 もうついて行く気でいるんだよ。と言いたかったけど、驚かせたいとか嫌そうな顔がみたいとか、その辺、腐ってもわたしなんだよね。うん。
 彼は素っ気無く唇を歪めた。
「うるさい」
 彼はわたしの頭を撫でてくれたけど、その手の影になって表情が伺えなかったのがちょっと残念だった。
 わたしの方は、ちょっと眉を寄せて、それでもちゃんと笑えていたと思う。
 負ける方にわざと味方するなんてちょっぴり癪だけど、まあこのさい忘れよう。
 その分、このわたしがわざわざ味方してあげるんだから、彼を誰かに殺させたりしない。
 負けがわかっている人を生かすために諸共に負けよう、いや負けるどころか悪魔のわたしはただでは済まないはずなんだけど、そんな気持ちにさせる彼は、一体どこまで計算しているんだろう。
 と、考えてやめて、わたしは肺に息を溜めた。
 それは勿論、わたしがいかに彼を好きか、わたしからも告白するためだった。
















あんまり書き加えず修正しましたー
当時の萌え語りもいい加減長いので白抜き。
というわけでナオヤ×チャラ子でーす。やっほー。
この二人を一緒にかいたり、らぶらぶさせたり、それだけで幸せそれがわたしであります。
でもこれナオヤ側でかいたらブラックになったんじゃないか。
こいつカインが転生できると思ってナオヤをないがしろにしやがって助ける気皆無かコラ。ちょっと期待した俺が馬鹿だったぞ…べ、別に助けに来て欲しいとかそんなんじゃないんだからなっ!かっ勘違い…す、するなよ…
みたいな。
ないわー。
どうでもいいけどナオヤは人の頭なでなでしてそうってイメージは、多分、しいていうなら、従兄弟的な…。
このナオヤが従兄弟にどんな感情を抱いているのかは不明ですし、捨て鉢とか言うのもチャラ子の感想というわけで、意味深なことを言えば、ナオヤはさいごのさいごでやさしい嘘をつきそう。
自分を好いてるらしいチャラ子に好きって言ってあげる?
そいで本命が主人公とか?
ないわー。
タイトルはかいちゃったあとペラペラ探したら光の名曲がピタリでした。
候補はすぴっつのババロアとかガーベラだったけどこれらもおいしいので忘れないでおく!
わたしにとっての本番はタイトルにたどり着いたあたりでいちゃこらシーンとともに終了していますよ。
最近グロばっかかいてたから…反動ですよ。

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