軋人。ギャグを交えつつ。
人識は告白したいらしい。
人識は告白したいらしい。
「俺は、あんたを家族だと思っていない」
意を決した。ようには聞こえないように、平坦な調子で、人識は言った。
目の前の背中に向かって。
人識に背を向けている軋識は微動だにしない。聞かせ慣れている台詞では、ある。聞き流されてきた台詞では、ある。
「だから、えと…」
促されている訳ではないのに、人識は続く言葉を探している。溢れんばかりの気持ちを伝えたいのに、伝わらない。伝えるすべを知らない。なんてもどかしいのか。
「好きだ!家族じゃない…あーなんか違う、違うんだって…」
人識はせめてとばかりに軋識のシャツを掴んで、思い切り俯く。置いて行かないで欲しい。これ以上離れないで欲しい。どうやって距離を詰めれば良いのか解らない。
「好きだ…」
戯言遣いみたいに言葉を操って伝えるなんてできない。
「家族としてなんて、見ないでくれ…」
きひひ、
特徴的な笑い声が感覚器官を揺さぶる。
「なに笑ってんだよ!俺は本気でっ」
人識が顔を上げるより、軋識が人識の手をのけその肢体を抱き締める方が早かった。
「うわはっ」
「きひひひ…お前も可愛いこと言うじゃねーちゃか、人識」
「な、にが可愛いだ」
「まあそんなガン飛ばすなっちゃ」
「俺が真剣だったのに」
軋識はしょげる人識の頭をくしゃくしゃに掻き回す。
「俺もお前を家族だとは思ってないちゃー」
人識は軋識をちらりと一瞥する。
「ふーん」
「おりゃ」
腕を締める。正確に言うと回した腕で人識の首を強く圧迫する。
「わぶっ…くるしっやめ…ギブ!ギブギブ!」
じたばたする人識を解放する。抱き締めるのも止め一歩下がる。
「…俺もだ」
「けほ…なにがだよ」
人識が恨みがましく軋識を見上げる。
「だから、俺もお前が好きだって言っ」
「わーーーああああああああ!!」
「何っちゃ!」
「はずい!やっぱ!」
赤くなる人識に軋識は呆れた。
「俺だってなんでこの年で青春しなきゃならないちゃか…」
そろそろやばい年齢なのだ。そろそろ。
「あ、いい表現を見つけたぜ」
「言ってみろっちゃ」
「俺はあんたを恋人だと思っている!」
「脳内恋愛!?」
「そして思われている」
「なんて勝手な」
「ゆえに、俺らは恋人である」
「三段論法とちゃ使い方がおかしいと指摘しておくっちゃ」
「つーまーりー」
人識は唇を尖らせて述べる。
「俺は大将を家族でなく、恋人だと思っていいんだな」
「疑問系じゃないだと」
「かはっ、そこじゃないだろ」
「きひひ…まあレンの奴にばれないようにな」
「かははははっ!」
軋識は胸に飛び込んで来た人識を抱き留めると、なるべく優しくキスをした。
きみにとどけ、ぜんぶ
タイトル→滲さま
すきだぜ近親相姦
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