(
2009/01/30)
七回目のベル
人舞
ほほえましくて、いいよね。
ほほえましくて、いいよね。
「もしもし」
「………」
「もしもーし」
「うー、わたしです」
「、来いよ」
電話は切れた。
七回目のベル
「人識くん」
振り返ってみても、誰もいない。
当たり前だ。こんな短時間に来ることなんて人類最強にも不可能だろう。解っているのだ。
「かは、は」
重症だ。
結構待つことになるだろう。特に今の伊織は振られた後なのだから。
というか本気で来る必要もないし。
「こんな時殺人鬼スキル発揮しやいいのに…はあ」
早く来やがれ。
「あーあーあー女々しー」
あいつが悪い。いきなり告白するとか言ってそのくせ振られたらすぐ電話して来やがった。
その気もねえくせに。呟きは溜め息と一緒に消えた。
「人識くんっ」
後ろから伸びて来た腕が人識の首の辺りをぎううと締める。
「あ、え」
「もうっ急いで来ちゃいましたよ。伊織ちゃん最高速です…人識くん?」
「なっ、」
早かった。
殺人鬼スキルこんな所に発揮しやがった。
「なんでこんな早いんだ、よ!」
「なんだか急ぎな気分になったのですよ」
「あんた振られたんじゃねえのかよ…」
「はい…ううん傷心だったのですが、なんだったっけ」
一拍置いて、そうだ。と呟き、続ける。
「人識君が声で気付いてくれたのとか嬉しかったのですよ」
「は、」
「あと人識君の声聞いたらわたしなんだか落ち着きました」
息継ぎ。
「そんで早く来たくて急いだのです」
「…かは…なんだよ。ていうか、本当なんなんだよ…」
「うふ…傑作、ですか?」
人識はその言葉に、にやりと笑い、緩められた腕を剥ぐと今度は正面から伊織を抱き締めた。
「あんた最高だ!」
オートマティックなんです。
自動的なんです。
それにしても対等な立場に立つ男女っていいなあ!
いおりんはたれに告ったんだ。。
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