ゆきまさ現代で兄弟パロだよー
間違った恋をしたけれど、間違いではなかった。
私は貴方を、確かに愛してしまったのだから。
愚かでした。
とても幸せでした。
貴方がいれば何も要らない。貴方が私の世界。それを、この身をもって知りました。
遠く離れていても、貴方への思いで呼吸ができたのです。
涙の別れにも、貴方とまた会える日への希望に心臓は血を巡らせたのです。
来世の業も知らずに。
「ゆーきーむーら!!」
「…ま、さむね」
「何を寝ぼけておるか!」
幸村が目を覚ましたのは政宗の腕の中でした。
幸村は、残業した後家に帰ったら政宗がソファで寝ていたので自分も眠くなり、政宗を抱き枕にして寝てしまったのを思い出しました。
「人を勝手に枕にするでないわ!疲れておろう、きちんと休め!」
政宗は幸村を引っ張り上げながら言いました。
外はもうすっかり夜が更けていました。幸村は渇きを覚え、水を飲もうとキッチンへ向かいました。
蛇口を捻る。
「まったく。幸村が起こしてくれると思っておったのに…」
真直ぐに注がれる水。
「すみません、余りに気持ち良さそうに寝ていたので」
コップが水で満たされる。
「まあ、よくあることじゃな」
幸村は政宗の足の付け根を見やりました。
(私は、何を)
はっとして、こぼれるほど溜めた水を流しました。排水口に吸い込まれて行きました。
だって幸村は気付いてしまったのです。喉なんて渇いていない。不覚でした。だって彼はこんなにも覚えているのです。
(どうして、)
幸村は強く目を瞑りました。それでもこの世界は消えませんし、彼自身が消えることもありません。
この世界は動き続けているのです。あの頃の二人を差し置いて、まるで今の二人は残酷なだけな時間に生殺しにされているようです。
思い出すことはこんなにも苦しいのかと幸村は唇を噛みました。なら思い出さない方が楽だったかもしれません。
けれども、
思い出さずとも、幸村はきっと彼を愛したでしょう。
兄弟としての愛でなく。前世の縁からでなく。彼を愛したことでしょう。
だってこの愛を育んだのは前世ではありません。今の二人なのです。
(前世の縁のせいにして、この思いの体裁の醜悪さを呪っているだけではないか、どっちにしろ愛しいのには変わりないのに)
周りから見てどんなに醜い行為だとしても、愛情にかわりはしないのです。
幸村はひとつ呼吸をすると、この忌むべき思いを胸の内で受け止めました。
ビー マイ ラスト
ザ・プラトニック幸村氏