(
2009/05/28)
幸政
交わした指は骨になる。
交わした口は灰になる。
交わした言葉は嘘になる。
交わした想いは空になる。
そう解っているのに隠すことも拒むこともできないのは過失。
折角距離が邪魔なのに、知らぬ間にその距離を厭うなんてただの節操無し。
そんな自分が大嫌い。
かといって何を恨んでも不快感は拭えない。
結局自分が恨めしい。
そうして自分が可哀想と泣くのだろう。
そうしたら彼は来てくれるから。甘えて寂しいと言えるから。
だから自分が大嫌い。
でも止めることはできない。いとも馬鹿らしい事象。
全部馬鹿らしい。
わたしは現象。
「やはり。怪我を、されておいでなんですね」
幸村は包帯が巻かれた左手首を大きな手で優しく包んだ。
「ご自愛なされませ」
その微笑みと同情は違いなく政宗に向けられている。そう感知した政宗はゾッとする。
その感情は、本物なのか。
政宗にわかるのは自分の気持ちが本心だということだけで、たとい目の前にいる易しく優しい幸村が政宗の気持ちを操る表面だけのあつらえものだとしても、それを知り得ることはないのだ。
一層その笑顔を向けないでくれれば、その慈愛の声を注がないでくれれば、政宗だって望まない。臨みはしない。
その笑みは甘味。その声は伽羅。誘われるのは指と舌。
それが結局幸村の思惑通りだったらこの胸はこの頭はこの足はこの腕はこの指はこの口はこの舌は、自分を捩じ伏せて拒否できるのか。
そう思うと政宗はすぐ俯いた。
答えは瞬時にでたのです。
「……できないっ」
吐露しようもない心中に耐えかね、政宗は思考を振り切るように幸村に抱きついた。
「政宗殿?」
自分の胸の辺りに頭をうずめて小さく震える恋人を見て、幸村は一瞬の躊躇を経てその薄い背中を腕で包み込んだ。
その躊躇いさえ好意的に感じられ、政宗はどこまでも思い上がる自分に失望しながら成すすべなく大きな背中に腕を回し、力一杯着物を掴んだ。
「幸村…っ」
半ば泣きながら、政宗はパッと顔を上げた。
濃い茶色の瞳が困惑と幸福に揺れて、政宗を映す。
どうしようもなくその眼球が欲しくなる。
無言でくちづけると、幸村の見開いた目が政宗だけを映していることに気づき、貪るように舌を絡めた。
「愛して、」
口先を触れさせながら言う。
ここに他のことはもういらない。
政宗は幸村の体にうずまるように寄り添う。
「こんな迷い、掻き消して」
そしてくちづけののちも未だ混迷をたゆたう心に構わず官能で身を満たそうと、情緒なく腰帯をほどいた。
タイトルはてきとう。
政宗はツンデレなので不安とかいえないといいよね。
馬鹿らしいとか思いつつ幸村に会いにいっちゃう。
思い上がり甚だしいとか思いつつ幸村に愛されたい。
気持ちはわかんないから行為で不安を埋める。
トンデモ政宗。
怪我も自分でつくったのかも。
ゆっきがさとればいいんだけど奴は鈍いから…うん
正直「幸村…っ」以降はいらなかった。筆がのった。最初はそのまま裏に突入だった。結局強制終了に。
あと無駄な設定だけど無印政宗です。
だから幸村より頭二つぶんちっちゃいんです。幸村が犯罪者になりました。
わあい
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