（ 2010/02/14） チャラ男。アツロウ。アツ子可哀想かも。

口を吐いて出たのは呪いの言葉だった。
本当は、魔王のことを愛しているのかとか永遠に添い続ける自信があるのかとか問い詰めるだけのつもりだった。本当に。
虚構と、わかっていて、戯言と、わかっているのに。
かの魔王の唇に触れた唇を、指に触れた指を、肌に触れた肌を、瞳に触れた瞳を、ちらと見ただけで舌が暴言を吐いた。
それほどに、目の前にいる少女が厭わしかった。
それほどに、目の前にいる少女が羨ましかった。
魔王を独占したいと思う自分が、たまらなく憎たらしかった。
恨むべくは魔王？いいや違う。
魔王は、もっとも大切。
この少女が邪魔なのだ。
邪魔なものは消せば善いのだと、ロキは知っていた。
ピンとしたものが胸に張り、余裕の笑みを浮かべた。
どうしてやろうか考えを巡らせるロキを険しい眼で見詰めていた少女は、ふと口を開いた。
その言葉だけは言ってはならなかった。

「あんただって、あいつの気分次第のくせに」

まるでロキが間違っているみたいに、白眼視。
馬鹿にするでもなく、萎縮するでもなく、ひたすらまっすぐ軽蔑の声で、少女は言う。
「あんたは魔王に愛されてる訳じゃないんだろ」
ロキの笑顔が消えたのは、当然と言って然るべき。
その言葉の強い衝撃の中で、押さえていた不安が音をたてて爆発した気がしていた。
ロキの腱を切りおおせて優越感ににやりとする少女を、ただ消す気にならなかった。
妬ましくて妬ましくて妬ましくて、妬ましい。
「横恋慕をしているのはきみのほうなんだよ！」

そう、苦しむべきだ。

錯覚の愛など失ってしまえばいい。
錯覚の愛に気づかない彼女の魔王への思いはその程度、こちらもまた錯覚。間違った恋慕。
彼女は絶望的に、間違っている。

さるがうおもいびとのなんとつみぶかくいとおしいことか。









脳にそれだけ刷り込むと、男は血と汁にまみれ気を失った少女をこれ以上どう苦しめようか考えつつとりあえず蹴り起こしてから熟考しようと決め、足を浮かせた。




毎回文の感じが変わるのはアレっぽくていいかもしれないぞ。
あとタイトルももっと自由に行こうか。
最後の最後にチャラ男が耐えられなくなりました。
もうアツロウがかわいそうになって…こないや。不思議。
ということで、次はアツロウだー。
んー、しかし文の質感が普通だ…。
あ、現在のナオヤ…はどっかで一心にマリンカリンの練習してるはず。
魔王のおあそびは人を本気にさせる。