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2025/04/21  [PR]
 

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 無双


掻き抱く手に微塵の偽りもなく、強がりや虚勢はもう通用しない。
政宗は肺一杯に埃と彼の匂いを吸い、息を止めて、惜しむように少しずつ吐き出した。
すっかり息を出し切る頃には酸素が足りず、こめかみと心臓が狂ったように鳴るのを聴いて、今ここで死ぬことを一巡り妄想したあと惰性じみた呼吸を再開した。
こうして身を包まれて体温を共有する瞬間が大好きだと、思って口に出そうとしてやめてきつく唇を結ぶ。
自分と違うリズムの心音に耳を澄まして、確かな鼓動に瞼を落とす。
沈黙の長さが、心地よくて、照れくさくて、幸せで、あまりの喜びに生涯の内の幸福全部使ってしまいそうで、一寸、恐怖を覚えたけれど、この腕の中にいれば、恐怖の戦慄きさえ宥めてくれそうで、嬉しくなった。
そんな下心抱きつつ、一回り大きな背に腕を回そうとしたとき、
「図書室はもう閉館時間なんだがな」
「馬鹿めが」
ふと本棚の陰からふたつの声色が響いた。
「みみみ三成殿!」
「司馬懿!」
互いの身を離し冷涼とした声たちの方へ向いた。
「図書委員の俺たちは今日、本の整理当番でな。日が暮れぬ内に帰れ、幸村」
「政宗、おまえは図書委員ではないのか?」
幸村は姿を現した三成と司馬に、しばらくポカンとしたあと、はっと自我を取り戻し狼狽も露わに二人に向かってお辞儀しわたわたと出入り口の方へ向いた。
「あ、は、はい!すみませんでした失礼しましたっ!」
政宗は思わず吹き出し、出入り口に向かって突進する幸村に、
「幸村、また明日な」
と声を掛けた。
その声に、一寸振り向いて、惜しみなく、晴れやかなそして爽やかな笑顔をみせて、幸村は応える。
「はいっ!政宗殿!」
鞄を背負った影が消えても政宗と司馬懿、三成にさえ図書委員の仕事を始める素振りはない。
政宗は林檎の頬をしたまま開けっ放しの扉の方を見つめていたが、しばらくして口角を上げ、にんまりとした。
「ふふ…ふはは…」
そして勢いよく後ろの二人を振り向くと、人差し指と中指をピンと伸ばして左手でピースを作ってみせた。
その仕草に、張り詰めていた緊張の糸が切れ、二人はわあっと歓声をあげて政宗に駆け寄った。



シルバーコインストラテジー











「俺にも計算できないことがあるのか!」
「諸葛亮との賭けに勝った!ふはははは」
「地味に失礼ぞ貴様ら!馬鹿め!びっくりするな!賭けするな!」
「ふ、まさか成功するとはな…あ、兼続からメールだ。返信せねば」
「ああ、相手はあの真田幸村…あ、諸葛亮からメールだ。早速返信」
「貴様ら友達おらぬなー」
「山犬成功しちゃったよ^^v とな」
「なにを兼続などに報告しておるか…絶対邪魔される。あいつ無理、キライ」
「賭けは勝ったぞ約束通り貴様の日曜を頂くぞ`▽´ところで、政宗と幸村みたいな恋人どうしって土日に一緒にでかけたりするものかな`・ω・ とな」
「さりげなく人をダシにするでない!ところで、じゃないわ!あざとい!」
「言うな政宗。あいつ本気だから」
「相手は結婚してる上、教師だぞ?」
「あっほらそこ言われたらきついとこ。司馬懿縮んでく」
「ナメクジか」
「そうだ、政宗。幸村にメールしないのか?」
「え、ええ、ああ、するつもり…なのだがなんと言ってよいのやら」
「任せろ政宗! 今夜どう? だ!」
「このフワフワ扇子が…」
「帰れフワフワ」
「こっ、この官能的な響きが理解できぬというのか?じゃあ貴様がやってみろ三成!」
「今日はどうもありがとう。
 私、真田くんのことずっと好きだったから、すっごく嬉しいよっ><
 今日は間が悪くてごめんね!
 続きは今度かな?(笑
 明日から一緒に帰ろうよ!」
「うわ普通にいいちょっぴり引く」
「いただきじゃ」



シルバーコイン→銀貨→新約聖書のアレ。30枚のアレ。
ストラテジー→戦略
三成が幸村をはめました的な?
司馬イのイの字が出てこなくて困った。
普通じゃ面白くないからこんな司馬イになりました。
なんだろうこの司馬イ。
兼続じゃなくて司馬イなのは趣味なんだけどね。
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